怒られない議事録の書き方とは?会議中にどうやってメモを取ればいいのさ

会議中、どうやって議事メモを取るべき?

会議中のメモって、一言一句全部とった方がいいんですか?

こんな質問をよく尋ねられます。

前提として、ここでは最終的な納品物として、「決定事項・ToDo・要約」を記載する議事録を想定して書きます。(↓こんなイメージ)

議事録
会議名:週次定例会議
開催日:2400年1月2日13:00-14:30
アジェンダ:①進捗報告 ②コスト状況 ③質疑応答
開催場所:株式会社にたまご商事 会議室
参加者(敬称略):
ぺんぎん水産 ぺんぺん太郎、トド丸
にたまご商事 ほーりー、ぴよひこ(文責)

【決定事項】
1.コロナウイルス感染拡大防止のため、次回の定例会議(1月9日開催)はリモートでの開催とする。

【ToDo】
1.リモート開催に伴い、Zoom会議に関する会議案内を送付する。(にたまご商事:ほーりー 期限:1月4日)

【要約】
(省略)

最終的な納品は要約した文章だとしても、会議中に取る議事メモは一言一句違わず全部取るべきか??

個人的には半分正解、半分やりすぎというのが結論です。

まず半分正解と述べたのは、いきなり要約しようと思ってメモを取るのをやめてしまわないほうが良いという意味です。他方で、一言一句すべて取る必要があるかというと、そこまでする必要はないかなと思います。

必要はない以前に、かなりリスクもあります。

大は小を兼ねる!一言一句全て書くことで、あとで議事録にするときに絶対に役に立つんだ!!先輩からは逐語でとるようにって言われてるし

と、意気込む方が多いのですが、長いときは2時間以上続く会議を一言一句全てとるとなると、ボイスレコーダーに徹することに頭がいってしまい、会議が終わった時に

「なんの会議だったか全く分からなかったけど、全部発言は記録した!!!」

という状態になりかねません。(私自身そういう経験があります笑)

こうなってくると、案外議事録は書けないものです。全員が全員きれいに流れにそって話しているわけではありません。指示語や身振り手振りも飛び交います。会議内容も完璧に理解している上に、一言一句全てとることができ、会議が終わったあとにも指示語なども何を指していたか全て記憶できているのであればいいのですが、なかなか難易度が高いように思います。

なお、時と場合によりますが「逐語でちゃんととってよ」と言われた場合は、厳密な逐語を求めているわけではないことが多いです。(裁判で使うためになど、特別な理由があっる場合は別ですが)「逐語でとってほしい」と頼む意図は、ちゃんと内容の抜け漏れがないようしっかり記録として残してよ、という意味に置き換えてもいいと思います。

じゃぁ、どうするのさ!!

議事録で最低限漏らしてはいけない内容が「決定事項・ToDo」だとすると、それらに関連するところはもちろんメモとして記載を漏らしてはいけません。ただ、相手の発言中に「あ、これは決定事項に関連する話をしている!」と判断するのは容易ではありません。なので、メモするポイントを見極める方法がいくつかあります。これだけおさえておけば、とりあえず抜け漏れは防げます。

メモするポイント
  • 質問とそれに対する回答
  • 課題の提起や提案
  • 決定事項・ToDoは結論が出たらメモっておく
  • (直接発言してなくとも)5W1Hを補足
  • 数字や日付、固有名詞は絶対に漏らさない

※「FOCEP」「空・雨・傘」など、フレームワークを頭に浮かべて重要度の判断を行うべしと解説する方もいらっしゃいますが、正直個人的にはその発言が何にあたるのかを考えている暇があったらとりあえずメモしてしまった方が早いんじゃないかなぁと思います。会議の場での発言って厳密に分類できるほど全員が全員完璧に話しているわけではないので。

百聞は一見に如かず、具体例でいきましょう。

例えばこんな会議があったとします。

ぺんぺん太郎:来週の定例ですが、ちょっとコロナ怖くないっすか?
ほーりー:ですよねぇ
トド丸:今日電車が密で困りましたわ
ほーりー:来週から会議はZoomでやります?
トド丸:Zoomってなんですの?
ぺんぺん太郎:トド丸さん、知らんの?あれよあれ、便利な奴
ほーりー:テレビ会議システムみたいなものです
トド丸:時代の最先端っぽくてカッコいいですな
ぺんぺん太郎:そんじゃ、来週からはZoomでやりましょ
ほーりー:承知しました。案内出しときますね
ぺんぺん太郎:頼みます~
トド丸:あ、ほーりーさん。先ほど話した例の件、宜しくね
ほーりー:はい、承知しました。後ほど資料をお送りします。

ぺんぎん水産とにたまご商事は毎週決まった曜日に会議をしています。長い会議の一場面ではありますが、昨今の情勢を踏まえ次回からこの定例会議はリモートでの開催にしましょうという議題が出されました。

議事メモを取る際、上記全てを取る必要がなさそうなのはなんとなく分かると思います。

ぺんぺん太郎:来週の定例ですが、ちょっとコロナ怖くないっすか?
ほーりー:ですよねぇ
トド丸:今日電車が密で困りましたわ
ほーりー:来週から会議はZoomでやります?
トド丸:Zoomってなんですの?
ぺんぺん太郎:トド丸さん、知らんの?あれよあれ、便利な奴
ほーりー:テレビ会議システムみたいなものです
トド丸:時代の最先端っぽくてカッコいいですな
ぺんぺん太郎:そんじゃ、来週からはZoomでやりましょ
ほーりー:承知しました。案内出しときますね

ぺんぺん太郎:頼みます~
トド丸:あ、ほーりーさん。先ほど話した例の件、宜しくね
ほーりー:はい、承知しました。後ほど資料をお送りします。

極論、決定事項とToDoに関連するところだけでいうと上記のラインを引いたところだけでしょう。

ぺんぺん太郎:来週の定例ですが、ちょっとコロナ怖くないっすか?
ほーりー:ですよねぇ
トド丸:今日電車が密で困りましたわ
ほーりー:来週から会議はZoomでやります?
トド丸:Zoomってなんですの?
ぺんぺん太郎:トド丸さん、知らんの?あれよあれ、便利な奴
ほーりー:テレビ会議システムみたいなものです
トド丸:時代の最先端っぽくてカッコいいですな
ぺんぺん太郎:そんじゃ、来週からはZoomでやりましょ
ほーりー:承知しました。案内出しときますね

ぺんぺん太郎:頼みます~
トド丸:あ、ほーりーさん。先ほど話した例の件、宜しくね
ほーりー:はい、承知しました。後ほど資料をお送りします。

課題の提起や質問・回答も入れるとこんな感じですかね

ラインが引かれていない5行は、そこまで重要な発言ではなさそうです。他方で少なくともラインを引いたところはメモとして残しておく必要があるかもしれません。もちろんラインが引かれていない5行もメモってはいけないという意味ではありません。

上の文章だと、たった5行が減っただけじゃん!

発言が憚られるくらい緊張感のある会議であれば別ですが、フランクに話している場であればもっと削ってもよい発言が多いかもしれません。また、この一連の発言はある特定の会議の一部分を抜き出しているものであって、実際の会議は何倍にも何十倍にもなるかと思います。そういう意味では、少しでもメモしなくて良い部分がわかれば、作業量はぐっと減ります

そしたら、今ラインを引いたようなところを会議中にメモすれば良いの??

ぺんぺん太郎:来週の定例ですが、ちょっとコロナ怖くないっすか?
ほーりー:来週から会議はZoomでやります?
トド丸:Zoomってなんですの?
ほーりー:テレビ会議システムみたいなものです
ぺんぺん太郎:そんじゃ、来週からはZoomでやりましょ
ほーりー:承知しました。案内出しときますね
トド丸:あ、ほーりーさん。先ほど話した例の件、宜しくね
ほーりー:はい、承知しました。後ほど資料をお送りします。

これだけだと惜しいです。

あくまでそれは、書くべき範囲を明確にしたにすぎません。メモがこれだけだど、議事録を書く際に結構苦労すると思いませんか?

結論からいうと、私なら多分こんな感じでメモをします。(リアリティ出すため、あえて雑に書いています)

★…決定事項
☆…todo

ぺんぺん太郎:来週(1/9)は定例について開催すべきか検討したい。対面の会議はコロナウイルス感染リスクが高いのではないか。
ほーりー:来週はリモートでの開催(Zoom)にするか。リモートでの開催であれば対面する必要がないため。
トド丸:Zoomとはなにか
ほーりー:テレビ会議システムのようなもの
ぺんぺん太郎:承知した。Zoomでよい★決定事項
ほーりー:承知した。私から会議案内をメールで送付する。☆todo
トド丸:定例会資料p.12記載の「サーモントラウト市場の調査」に関する元データの送付をお願いしたい。
ほーりー:承知した。私からメールで送付する。☆todo

あとで自分が議事メモを見返したとき分かりやすいように、決定事項やToDoは記号「☆todo」「★決定事項」などを使用するか、「←todo」「←決定事項」のように矢印で補足するなど人によってさまざまな書き方があります。(分かりやすければなんでもいいと思います笑)

語尾や表現は一旦気にしないでください。議事録として最終化していくときにはこれまでの議事録の語調に合わせて書くようにしましょう。

ここで注視していただきたいのは、直接発言していない内容でもその発言の意図や背景をくみ取り補完するという点です。

発言の意図や背景をくみ取るというと難しいように感じるかもしれませんが、すごく簡単にいうと5W1Hのどこが抜け落ちているのかを判断するだけで、凡そ整理することができます。

たとえばぺんぺん太郎さんの最初の発言は、整理すると

Who(誰が)私(私たち)
When(いつ)来週(mm/dd)
Where(どこで)会議室(対面)
What(なにをどうしたいのか)定例会議を開催すべきか決めたい
Why(その理由)コロナウイルスの感染拡大に伴い、対面で会議するのは危ないのではないかという懸念がある
How(どうする)にたまご商事さんと協議のうえでどうするか決めたい

ここでいう5W1Hはあくまで議事メモを取る段階で、相手の発言を分解し、意図を理解するという意味で使用しています。納品物として提出する際に気を付けるべき5W1Hとは少し異なります。

こんな感じになるかと思います。

丁寧に書くのであれば「(Who)御社と弊社で、(Where)御社の会議室にて、毎週開催されている定例会議ですが、(Why)コロナウイル感染拡大に伴い、対面での会議は感染のリスクが高いのではないかという懸念がございます。つきましては、(When)来週xx月xx日に予定しております次回の定例会議に関して、(What)開催の要否、代替手段などを検討させていただきたいと存じます。」くらい長くなるかもしれません。

議事録としても少々くどいですし、メモとして全部の文をここまで取れるとは思えません。なので私は、(半分無意識ですが)What→Why→How→そのほかの順で頭の中で整理して、必要そうな部分までをメモとして残しています。

発言の意図や背景をくみ取る際は、その発言を5W1Hに分解して、何がいいたいのかを明確にする!


ぺんぺん太郎
ぺんぺん太郎

来週の定例どうしよっか。コロナ怖いよねー

トド丸
トド丸

例の件、お願いね!!

ぺんぺん太郎さんの発言は毎週同じ曜日・時間に開催しているのであれば、そこまで重要な要素ではないかもしれませんが、「来週」だったり「明日」「先月末」など日付が出てきたら要注意です。昨日の明日は今日なのです。

基本的に日付に関する話題が出てきたら、直接発言をしていなくともそれがいつを指すのかその場でメモしておきましょう。

また「例の件」と発言しているものがあります。「例の件」が何を示しているのか、その場その時なら分かるかもしれませんが、長い会議を終えると「ここってどの話だったっけ?」と分からなくなってしまうことが多いです。

「あれ」「それ」「これ」系の話がでてきたら、時間の許す限りなんの話をしていて、誰がどうすることを求めているのか分かるようにメモをとりましょう。

そんなん当たり前でしょう

と思われるかもしれませんが、想像以上に会議中は「あれ」や「これ」「例の件」みたいなワードが飛び交います。常に意識して補完しておかないとあとで「なんだっけこれ」と聞かれた際、人に説明できなくなってしまいます。

また、同じように固有名詞も要注意です。

新人のころや、プロジェクトに参画したばかりのころは専門用語、略語のオンパレードで何を話しているのか理解するのがなかなか難しいこともあるかと思います。(そもそも一般用語なのか会社特有の言葉なのかも分からないことが出てくると思います)

一般用語であれば、その場で検索して出てくるかもしれませんが、会社特有の言葉だとしたら出てくることはありません。ましてや、会議中に調べる余裕があるかというと案外難しいかもしれません。私はそんな時、もう一旦発言の背景だなんだを忘れて、一言一句違わずその発言をメモしていました。

あとで調べて分かるのであれば、前後の文脈は発言の背景を明確にしているはずなのでパズルがつながるように「あ、そういうことね」と理解できるかもしれません。他方、全然分からない場合は、素直に会議が終わった時に聞きに行きましょう。

案外、慣れていてもつい忘れてしまうことがあります。常に日付・数字・固有名詞の話がでてきたらメモと覚えておきましょう。

日付・数字・固有名詞の話がでてきたら(補完できるところはできるだけ補完して)必ずメモ!

そうは言っても正直まだ不安です。とりあえず、ボイスレコーダーで録音しておきたいんですが、良いですよね?

駄目です!とは言いませんが、極力避けた方が良いでしょう。理由は①情報漏洩に繋がる可能性がある。②記録として残したくない内容も全て録音されてしまう。③ボイスレコーダーを使うことに慣れてしまい、議事メモを取ることをやめてしまう。などが挙げられます。

まず一つ目についてですが、「情報漏洩」につながる可能性があるからという直接的な理由もありますが、お客様に断りなく「ボイスレコーダー」に記録すること自体が問題になるケースが多いです。もし本当にボイスレコーダーを使う必要がある場合は、事前に断りを入れましょう。(時にはPCすら持ち込みが許されていない場合もあります

二つ目ですが、稀にお客様(或いは自社のメンバー)が「この話は議事録に残さないでください」と断りを入れたうえで発言されることがあります。確かに議事録としては残らないかもしれませんが、その議事録を作成する元となる音声として残ってしまっているのであれば発言しようにもできない場面も出てきてしまうかもしれません。

三つ目に、これが一番重要かもしれませんが、ボイスレコーダーを使うことに慣れてしまい議事メモを取ることをやめてしまうことに繋がってしまうのではないかという懸念があります。使えるものは使いたいという気持ちは分かりますが、2時間の会議を録音し、2時間聞きながら、或いは途中止めながら議事録を作成するのは大変非効率です。不安な気持ちもあるとは思いますが、使用するとしても本当に最低限聞き逃した部分を再確認するために用いるようにしましょう。

次回(第二弾)は、実際に議事メモから議事録の作成についてです。

怒られない議事録の書き方とは?正しいビジネス文書ってなんなのさ

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