議事録の書き方 第二弾:議事録の書き方
この文章はビジネスにおいて相応しい日本語になっていないって言われました。ビジネスにおける正しい日本語ってなんですか?
社会に出ると途端に出くわすビジネス文書、ビジネス用語、ビジネスにふさわしい日本語
一見、いわゆる学校で教わる正しい日本語が書けていれば良いのかと見せかけて、ビジネスの場特有の変わった言い回しや表現がたくさん出てきます。
君の議事録はビジネス文書になってないよ。こんなおこちゃまな表現じゃ、ダメダメ!
こんなことを言われた経験はありませんか?
前回、議事録の書き方シリーズ第一弾として議事録作成の目的と議事メモのとりかたをご紹介いたしました。
怒られない議事録の書き方とは?会議中にどうやってメモを取ればいいのさ今回はその議事メモから議事録を作成する方法、とくに注意すべき点について私見を交えながら書いていこうと思います。
- 議事録を書く上での事前準備
- 議事メモから議事録にするには?
議事録を書く上での事前準備
当然といえば当然ですが、みんながみんな好き勝手に自分の書き方で議事録を書いていては粒度がまちまちで統一感のない議事録に仕上がってしまいます。
まずは以下のことを確認するところからはじめましょう。
うちのプロジェクトはこういうフォーマット使ってるから、それに合わせて書いてくださいな
プロジェクトが始まり、いざ議事録を作成してくださいと言われた際にはまず上記のことを確認しましょう。
(進行中のプロジェクトであれば)プロジェクトの内容理解をするためにも、議事録の体裁をこれまでと合わせるためにも、そして議事録の書き方を上達させるためにもまずは今までの議事録を熟読しましょう。
もし、新規で始まるプロジェクトや今までの議事録が無い場合には、どういう目的で議事録を作成する必要があり、それを満たすための要件(書くべき項目)が何なのかを聞きましょう。また、その場合は参考になる議事録をプロジェクトメンバーから見せてもらうと良いでしょう。
パワポの資料もそうですが、人の作った資料をひたすら収集して、いいとこどりのオリジナルVer.を作っていくのが上達のコツだと思います!
幾つか実際の議事録を読んでみると、凡そどのように書いているかが見えてくると思いますが、改めて人の議事録を読む際におさえておくと良いポイントをご紹介いたします。
- 日付や数字の書き方:12月1日と書くのか、12/1と書くのかなど
- 語尾の書き方:「ですます調」なのか「である調」なのかなど
- 人の名前の敬称要否:「うし蔵様」「うし蔵さん」「うし蔵」など
- 固有名詞の書き方:「iPhone」「アイフォン」「iPhone12 pro」など
- 略語の使用有無:「にたまご商事株式会社」「にたまご」「にたまご社」など
「12月1日」と書くのか「12/1」と書くのか、「12月1日(月)」のように書くのか、日付の書き方は様々です。細かいところかもしれませんが、統一できるところは統一したほうが美しい議事録になりますし、読みやすいです。
少なくとも一つの文書内では統一されているのが良いと思います。そして、可能な限り文書を跨いでもこういった文言の統一がなされていると、「おぉーさすがだな」と思ってもらえると思います。(見る人は見ています!)
数字の書き方も案外注意です。たとえば算用数字と漢数字どちらを使うかが統一されていないことがあります。「第一弾」と書くべきか「第1弾」と書くべきか。この辺りは厳密にどちらが良いという話ではないかもしれませんが、資料上はできるかぎり平仄を合わせるようにしましょう。
また語尾の書き方ですが、「ですます調」なのか「である調」なのかくらいはすぐ分かると思います。一方で疑問文の際に「?」をつけるべきなのか、「。」で終わらせるべきなのか。或いは「体言止め」で締めるほうが良いのか、などなど、意外にみるべきポイントはたくさんあります。
「ですます調」でも「である調」でも構わないと思いますが、一般的に議事録の体裁としてみるのは「である調」が圧倒的に多いです。そもそも「要約」として提出することが多いからというのもあるかもしれません。
また、私見ではありますが要約として提出する議事録の場合は「?」や「!」などは極力避けた方が無難でしょう。
「そのスケジュールは無理してない?」という発言も、「かなりタイトなスケジュールに見えるが、問題ないか。」或いは「もう少し余裕を持たせたスケジュールを組むべきではないか。」などなど疑問符を使わずとも言い換えてしまえば良いだけなので、下手なツッコミを受けるくらいであれば最初から避けた方が無難でしょう。
一方で、純粋な逐語でとる場合はこの限りではありません。
日本語の表記においても、会話をそのまま書き表した文などでは、「?」を用いないと意味が通じないような場合や、「!」を用いた方がより明快に伝わる場合がある。
公用文においても解説・広報等の文書、また、発言をそのまま記載する記録などにおいては、必要に応じて使用して差し支えない。
文化庁「公用文作成の要領」の見直しに関する国語課題小委員会の検討状況(案)より
上記のように、公用文においても、発言をそのまま記録する場合などには疑問符や感嘆符などを用いて発言のニュアンスを表現する場合があります。
お客さんが自社の社員のことを話すとき、敬称を略して発言されることが多いですが、議事録上は「様」を補完するほうがよいのでしょうか?
でも、そうすると自分の発言で自社の社員に「様」を付けるみたいになってしまいませんか?
案外私も未だに「どうしようかなぁ」と悩むのがこの辺りですね。例えば以下のような場合、
うちのトド丸に届けさせますんで。よろしくお願いします。
承知しました。ありがとうございます。
ぺんぺん太郎さんと、会話の中のトド丸さんは「ぺんぎん水産」の社員です。一方でうし蔵さんは「にたまご商事」の社員です。議事録を作成するのは「にたまご商事」側の社員だとします。素直に考えると、
ぺんぺん太郎:弊社のトド丸から、資料を送付する。
うし蔵:承知した。
うし蔵:承知した。
で、良いように思います。一方で、クライアントの社員名を呼び捨てで良いんだろうかという葛藤もあるかと思います。
議事録の参加者欄やToDoの担当者名として(敬称略)と書いてある部分は良いと思います。他方、会話の中で出てきた名前もそれで良いのだろうかと思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
あんまり気にしたことが無かったという方もいらっしゃるかもしれませんが、この辺りはプロジェクトの中で一応確認しておいた方が良いです。(混在していると、お客様に失礼となってしまうかもしれませんので)
私の経験上、ほとんどのケースは
自社発言の対お客様:xx様
自社発言の対自社:xx
お客様発言の対自社:xx様
お客様発言の対お客様:xx
自社発言の対自社:xx
お客様発言の対自社:xx様
お客様発言の対お客様:xx
で良いと思います。なので、上記のケースだと素直に考えた場合と同じですね。
一方で、お客様と自社という壁を隔てた関係ではなく、完全にお客様のメンバーの一人として入っているような場合には、だれかれ構わず全員に「xxさん」と統一して記載したこともあります。
この辺りは好みもあるので、プロジェクト内で統一されていればどんな書き方でも基本は問題ないと思います。
ちゃんと固有名詞は正式名称で書いてくださいね。同じカテゴリー内に複数の商品があるので、どの商品のことを指しているのか、明確にしてください。
こんなことを言われた経験はありませんか?
たとえば、「iPhone」の話をしていたとします。ただ、iPhoneと一言でいっても「iPhone 11」なのか「iPhone 12」なのか、「iPhone 12」だとしてもモデルが複数あったりします。
特定のiPhoneの機種の話をしている場合でなければ、必ずしも詳細まで明確にする必要はないかもしれませんが、「アイフォン」と書くと怒られる場合はあるかもしれません。(まぁさすがにiPhoneをアイフォンと書く方は多くないと思いますが、例えばシステム名などは人によって顕著に差が出てしまったりします。)
逆に、商品名やブランド名、会社名などを明確に記録したくない場合もあるかもしれません(いわゆるオフレコ)。そういった場合には「スマートフォン」などあえて抽象的にする必要もあるかもしれません。
また同様に、略語の使用も気を付けた方が良いです。「にたまご商事株式会社」と毎回正式名称で書く必要があるのか、「にたまご社」と書いて良いのか、「NS.inc」のような特定の略語で書けるのかなどなどあるかと思います。固有名詞だけでなく一般名詞のようなもの、例えば「スマートフォン」も「スマホ」と書いて良いのかなども気を付ける必要があります。
この辺りは、ビジネス文書として正しい正しくないもあるかもしれませんが基本的には統一されていれば良い話なので、まずは確認しましょう。
いずれにせよ、自分の中(延いてはプロジェクト内)で明確なルールをしっかりと持ち、文書内で統一できていればどのような書き方でも基本は問題ありません。
next…議事メモから議事録にするには?